バイデンの勝利演説
2020年 11月 08日
日本時間の午前10時半頃からバイデンが勝利演説をして、それは世界中に中継された。その中で使われた、” Let this grim era of demonization in America begin to end — here and now.”という表現を、LA TimesやWashington Postなどの米国の有名紙が取り上げている。単純に訳せば、この悪魔化の暗い時代を、ここで、今から終わらせよう、という意味である。悪魔化という強い表現を使ったことが物議を醸しているが、必ずしも宗教的な意味が含まれているわけではない。トランプがこれまで、不法移民の人々や自分に批判的なマスコミに悪者のレッテルを貼り付けて、汚い言葉で罵ったことを指している。今回の選挙を通じて、また、勝敗が決した後もなお、開票作業に不正があったと難癖を付けて法廷闘争に持ち込もうとしているその言動も同じような所業と言えるかもしれない。
4年前、トランプが大統領選挙に勝ったとき、このブログに次のように書いた。「米国のリベラル派の知識人たちにとっては、トランプは歴史上もっとも望ましくない大統領になるだろうと言われている。なぜ、そんなにトランプが嫌われているかというと、decency(上品さ)がなさ過ぎるということに尽きる。つまり、平気で嘘をつき、恐喝めいたことを言い、自分に反対する者に対して威圧的な態度を示すようなポピュリストに、国の運命を託すことができない、ビジネスマンならいいかもしれないが、政治家には不向きだということである。このように、リベラル派から見た次期大統領の評価は史上最低と言ってよい。実は、その点に関しては、小生も同意見である。」(2016年11月23日)
小生は、今回の選挙で民主党やバイデンを一貫して応援していたわけではない。日本にとっては民主党より、共和党の保守的な政策の方が有利な場合もあると言われたら、そういうものかと思う程度の知識しかもっていない。それでも、トランプの粗野で独善的な言動と政治手法にはついていけないところがあり、もうあと4年も彼の政権が続くと、いろいろなところに破綻を生じるのではないかという気がしていた。とりあえず、トランプの政権が終わることになってほっとしている。
by t0hori | 2020-11-08 17:41 | 随想 | Comments(1)