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カフェ・モンタージュでの演奏会

 昨日は敬老の日だった。秋分の日の少し前に別の休日があるのは有り難いことである。この祝日は、小生にとって以前はただの休日だったけれど、還暦を過ぎ、家族からからかい半分で老人扱いされるようになり、また、大学でも定年退職まで2年を切るようになると、自分と何か関係のある祝日に思われるから不思議である。ただし、今のところ、老人扱いと言っても年齢のことを揶揄されるだけで、大切に扱われたり、敬われたりしてもらったことはない。ちょっと気になったので、インターネットでその由来を調べてみた。すると、意外にも1960年代に制定された比較的新しい祝日であることが分かった。
 1947年に、兵庫県北播磨地域の最北部にある、多可郡野間谷村(現在の多可町)で、当時の村長であった門脇政夫が「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村づくりをしよう」という趣旨で、1947年の9月15日に開いた村主催の「敬老会」が発端とされている。1948年に国民の祝日に関する法律が施行されたが、そこに、こどもの日、成人の日はあったが、「敬老の日」がなかったことから、門脇村長が県下各市町に働きかけて、1950年に兵庫県の「としよりの日」が制定された。この流れは全国に広がり1963年に、老人福祉法が施行され、9月15日が「老人の日」となった。そして、3年後の1966年に、国民の祝日に関する法律が改正され、9月15日を「敬老の日」の祝日とすることになった。その後、国民の祝日に関する法律が改正され、2003年から9月第3月曜日に変更された。
 これもインターネットで調べたにわか情報だが、諸外国にも「敬老の日」に相当する日は定められているが、国民の祝日になっているのは日本ぐらいしかないようである。今や総人口に占める65歳以上の人の割合(高齢化率)は、日本がダントツの世界一であるから、「敬老の日」の制定で世界に先んじているのは、当然のことかもしれない。もっとも、この先、若い人の比率が減少し続けると、敬老してくれる人がいなくなることまで心配しなければならないかもしれない。
 Web情報の蘊蓄はこのくらいにして、敬老の日に何をしたかを、日記風に書き留めておこう。休日にもかかわらず、院生たちが出てきて実験しているだろうと予想して、朝から大学へ行った。そして、実際に何人かの院生と今後の実験計画について意見交換した。11時半に近くの喫茶店「らんぷ」へ行って、コーヒーの回数券1枚を使ってコーヒーとジャムトーストのモーニングセットを注文した。これを昼食のつもりで食べながら、持参した何冊かの本を読んだ。それから、草津駅前のエイスクエアへ行き、十字屋とキットカットでCDとマックの周辺機器を見て回り、結局何も買わずに大学に戻った。
 夕方帰宅して、すぐに近所のそば店の権兵衛で簡単に夕食を済ませて、妻とカフェ・モンタージュでの室内楽の演奏会を聴きに行った。この店へ行くのは初めてだった。開演は8時で、それより随分早く着いて、誰もいない店の前で開店を待った。
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 妻の数人の友人らもそのうちに到着した。7時20分に店が開き、2千円を払って入場し、一番前の席に座った。
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 プログラムは、R.シュトラウスのピアノ四重奏の小品3曲と、ブラームスのピアノ四重奏曲第3番だった。演奏の前にこの店のオーナーである高田伸也さんが、曲の特徴と作曲当時の逸話の紹介をした。シュトラウスの曲は、若いときに作曲された家庭的な親しみ深い小品である。そして、最後に演奏されたブラームスのピアノ四重奏曲は、隠れた名曲である。ブラームスが20歳台前半にシューマン夫妻に出会って間もないときに作曲したものを、何度も手を加えて20年以上も後に完成したものである。若き日の熱情に円熟期の作曲技法が加えられて、魅力的な作品となっている。特に、第2楽章のスケルツォの独特なシンコペーションのリズム、第3楽章のチョロが奏でる抒情的な旋律、そしてバイオリンとの対位法的な重奏が素晴らしかった。写真は、演奏を終えて拍手に応える演奏者たち(左から佐藤さん、田村さん、丸山さん、塩見さん)である。
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 演奏終了後、ワインとグレープフルーツジュースのグラスが並べられ、それらを片手に、演奏者たちと話をする機会があった。このように、生の演奏を至近距離で聴き、演奏者と聴衆が自由に接することができる音楽会というのは、小生にとっては初めてで新鮮だった。妻のように常連客になるというわけにはいかないが、これから秋から冬にかけて、気に入ったプログラムの演奏会があれば、聴きに来たいと思った。

by t0hori | 2018-09-18 23:58 | 音楽 | Comments(0)  

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