「池澤夏樹と世界の果て『パタゴニア 冒険の旅』」を見て
2018年 03月 18日
この文章そのままに、目を見張るような美しい風景と大航海時代からの歴史の話に引き込まれてしまった。けれども、7時に、あるレストランを予約していたから、後ろ髪を引かれる思いで、テレビを切って妻と2人で出かけたのだった。夕食後、以前このブログで紹介したことのある恵文社という書店に立ち寄り、パタゴニアに関する本を何冊か立ち読みした。ここでは結局買わなかったのだが、そのときから「パタゴニア」の地名が頭から離れなくなった。
今日は朝から自宅でゆっくり過ごした。日頃の運動不足を補うため、昼前から二度散歩を兼ねて1人で買い物にでかけた。11時半に家を出て、いつものように家のすぐ近くのバス亭から市バス4番に乗り、河原町丸太町で下車した。どこか適当な店で簡単に昼食を取るつもりだったのだが、土曜日ということもあり、入ってみたいと思う店はどこも満員だった。しかたなく、四条の方へ歩いて、まず最初にBALの地階の丸善へ直行した。書店では長時間立ち読みするのが通例なのだが、今日は予め買う本を決めていてそれだけを買って店を出た。どんな本を買ったかは昨日見た番組の話から想像できるだろう。
それから、四条通りの北側の歩道を西へ歩いた。そして、たまたま「パタゴニア」というアウトドア製品の店を見つけて、中を覗いてみた。店内は比較的広く、サック類や衣類が間隔を開けて置かれていて、雰囲気がよかった。春用の綿のシャツを買いたかったけれど1万2千円もしたので、買わずに店を出た。それから、ドトール・コーヒー四条通り北店でランチを食べた。ミラノサンドC ジンジャー照り焼きチキンとコーヒーにしたのだが、照り焼きチキンが塩辛いのには閉口した。食事を済ませ、残しておいたコーヒーをゆっくり飲みながら、先ほど丸善で買った2冊の本、野村哲也著「パタゴニアを行く」(中公新書)とブルース・チャトウィン著「パタゴニア」(河出文庫)の最初の数十ページを読んだが、どちらも予期した通りの内容だった。
その後、四条通りを烏丸まで歩き、そこから地下鉄で一旦家に帰った。自宅でも横になりながら続きを読んだ。そして、夕方4時頃に、もう少し身体を動かしておこうと思い、2度目の散歩に出かけた。今度は、下鴨中通りから府道103号線を左折し、明神川に沿う「社家の道」を通って上賀茂神社の前に出た。この辺りは、上賀茂神社の神職の住宅である社家が立ち並び独特な風情がある。手ぶらで帰るのも惜しい気がしたので、すぐきの漬け物で有名な「なり田」で菜の花漬けを、葵屋で焼き餅を買った。
チャトウィンの「パタゴニア」は、自分の子供時代のパタゴニアに関わる思い出から書き始め、現地でのさまざまな体験や交友のエピソードを書き連ねていて興味が尽きない。紀行文学の古典に数えられているのもうなずける。池澤夏樹が解説の中で、チャトウィンについて、芭蕉の「奥の細道」を愛読していたことを紹介した後で、「結局のところ、ブルース・チャトウィンは、人はなぜ移動するか、ある種の人々はなぜ異境にある時にもっとも家(自分の国、土地)にいるという安心感を得られるのか、という問いを生涯をかけて考え続けた。」と書いている。
旅行、放浪、あるいは異国へ移住までしなければ、書けない文芸作品というものがある。小生は10代の頃から、そういう作品に心を奪われてきた。自分でも、20代のある時期には、毎週のように山へ行き、繰り返し海外旅行もしたが、移動の生活を常態化するということはなかった。それだけに、逆に、そういう生き方への強い憧れの気持ちがどこかに潜んでいるのだと思う。昨日の番組と今日の読書は、あたかも喉の渇きを癒やす清涼飲料のように身体に染み渡り、心が癒やされた気がした。定年退職したら、池澤も書いているように、身体が動くうちにパタゴニアを訪れてみたいものである。
by t0hori | 2018-03-18 23:49 | 日誌 | Comments(0)